ミムジー・ファーマー主演「MORE」「渚の果てにこの愛を」

TRAILER

INTRODUCTION

インモラル 、ビザール、そしてイノセント
―映画史から忘れ去られた伝説のアメリカ人女優、ミムジー・ファーマー。
男を狂わせる危険な魅力に溢れた代表作2 本、半世紀ぶりに再公開!

今から50年前、カウンター・カルチャー全盛の時代。ヨーロッパ映画界で一瞬の光彩を放って消え去った一人のアメリカ人女優がいた。今や知る者もわずかとなり、映画史から忘れ去られようとしているその女優の名は、ミムジー・ファーマーという。

清純派としてハリウッド デビュー

ミムジー・ファーマーは1945 年2 月28 日、イリノイ州シカゴ出身。ハリウッドに育ち、高校在学中の16才の時にスカウトされ、数々のTV ドラマにゲスト出演。ヘンリー・フォンダ主演『スペンサーの山』(63)で本格的なスクリーン・デビューを飾り、清純派スターとして売り出した。その後、『帰郷』(65)、『暴走52マイル』(66)、『サンセット通りの暴動』(67/未)、ロジャー・コーマン製作『デビルズ・エンジェル』(67/未)などの低予算作品に出演したが、一時ハリウッドを離れ、カナダのバンクーバーでLSD を使ったアルコール中毒治療を行う病院で看護師を務めた。

ヨーロッパで『MORE/モア』に主演

半年後、再びコーマン製作『THE WILD RACERS』(68/未)で女優業に復帰。ヨーロッパ各国でロケされた同作を撮影し、後に名カメラマンと讃えられるネストール・アル メンドロスの知己を得て、ミムジーは、アルメンドロスが撮影を担当、「カイエ・デュ・シネマ」編集者を経てプロデューサーをしていたバーベット・シュローダーが初監督した西ドイツ、フランス、ルクセンブルグ合作による低予算の青春映画『MORE/モア』(69)に主演する。1969年カンヌ映画祭の国際批評家週間でプレミア上映された『MORE/モア』は、主演女優ミムジー・ファーマーの名とともに各国のジャーナリストたちの間でセンセーションを巻き起こした。8月にはニューヨーク、10月にはパリで公開されて大ヒット。日本では翌1970年4月、大阪万博で開催された「日本国際映画祭」において、フェリー二の『サテリコン』(69)、トリュフォーの『野生の少年』(69)などとともにプレミア上映された後、1971年2月に一般公開された。キネマ旬報ベストテンでは34位で、一部批評家から高く評価された。

『渚の果てにこの愛を』に主演

『渚の果てにこの愛を』(70)は、『MORE/モア』の大成功により、ヨーロッパで一躍時の人となったミムジーの人気を当て込んで作られた、フランスとイタリア合作による異形のミステリー。監督は、60 年代にミレーユ・ダルクとの数々のコンビ作で知られたフランス娯楽映画の職人、ジョルジュ・ロートネル。日本では『MORE/モア』公開から4か月後の1971年6月に公開された。80年代にレンタルビデオ化されて以来数十年、世界的に観る機会が失われていた幻の作品だったが、昨年2020年、ようやくフランスでブルーレイとDVD が発売された。フランス公開時は興行的に失敗し、以降、知る人ぞ知る作品になったが、遥か後年、クエンティン・タランティーノ監督が『キル・ビル Vol.2』(04)の予告篇と本篇の中でこの作品の楽曲を使用したことで、ファンの注目を集めることになった。

ヨーロッパに移住、そして引退

ヨーロッパの土地と文化を愛したミムジーは、70 年代から80 年代末までの約20 年間、イタリアを拠点に活動を続け、日本では『栄光への戦い』(70)、ダリオ・アルジェント監督『4匹の蝿』(71)、アラン・ドロン共演『暗黒街のふたり』(73)、タヴィアーニ兄弟監督『アロンサンファン/気高い兄弟』、『危険旅行』(74)、『炎のいけにえ』(75)、『ポケットの愛』『バイバイ・モンキー/コーネリアスの夢』(78)、『コンコルド』(79)、『トリエステから来た女』(82)が公開され、『ベレッタの女/最後の誘惑』(87)が最後の日本公開作となった。その他、日本未公開のホラーやB級アクション、文芸ドラマ、アート系作品にも数多く出演したが、1991 年に俳優業を引退した。

ハリウッド大作の裏方、そしてアーティストに

表舞台から去り、フランスに移り住んだミムジーは、1989 年に再婚した3番目の夫とともにスカルプター(造形担当)として『チャーリーとチョコレート工場』(05)、『マリー・アントワネット』(06)、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(07)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11)、『タイタンの逆襲』(12)、『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』(14)、『美女と野獣』(17)など、数々のハリウッド大作に参加。美術スタッフの一員として、その名は各作品のエンド・クレジットに記されている。ミムジー・ファーマーは、すでに映画女優として半ば忘れ去られた存在だが、私生活においては画家、彫刻家として第二の人生を歩み続けている。 『MORE/モア』と『渚の果てにこの愛を』の日本公開から今年2021 年で50年。ミムジーが両作品で演じた“海と太陽に愛された死の天使”ともいうべき役柄は、いわゆる“ファム・ファタール”の妖艶さ、邪悪さとは似て非なる。まばゆい笑顔と伸びやかな肢体、しかし、愛する男と自らをも否応なく破滅へと誘ってしまう女性像―今回の再公開は、忘れ去られた女優ミムジー・ファーマー唯一無二の危険な魅力と美しさを、すでに彼女を知る者だけでなく、初めて知る者の心にも刻み付けるに違いない。

映画表現のモラルを超えた問題作にして、
時代を超えた青春映画の傑作、50周年記念公開

INTRODUCTION

1969 年カンヌ映画祭。当時世界中に吹き荒れたカウンター・カルチャーの象徴ともいうべき『イージー★ライダー』が大きな注目を集め、同じくセックス、ドラッグ、ロック・ミュージックを前面に打ち出し、既存の映画表現の常識やモラルを超えた一本のヨーロッパ映画に激しい賛否が沸き起こった―その作品、『MORE/モア』は、「カイエ・デュ・シネマ」編集部員をへてエリック・ロメール作品のプロデュースをしてきたバーベット・シュローダーの監督デビュー作。ブロンドのショートカットが鮮烈な主演女優ミムジー・ファーマーは、そのナチュラルでイノセントなイメージとは相反するバイセクシュアルの麻薬中毒者を演じ、美しく大胆なフル・ヌードと併せ、各国でセンセーションを巻き起こした。プログレッシブ・ロックバンド、ピンク・フロイドが初めてサントラを手掛けたこの作品は、欧米では“カルト・クラシック”と見なされており、カンヌ映画祭2015ではデジタル復元版が凱旋上映されている。日本初公開から50年、時代を超えた傑作が再びスクリーンに甦る。

STORY

地中海の楽園は、恋人たちの失楽園となった・・・
ドイツ人の若者ステファン(クラウス・グリュンバーグ)は、学業を投げうって自分探しの旅に出た。ヒッチハイクでパリにやって来た彼は、ある晩、パーティで見かけた魅力的なアメリカ人女性、エステル(ミムジー・ファーマー)に一目惚れする。地中海のイビサ島に旅立った彼女を追って、ステファンもまた島を訪れる。再会したふたりは、眩しい陽光と青い海に囲まれた大自然の中で愛し合い、自由で幸せな毎日を過ごす。だが、エステルが隠し持っていたヘロインが、この世の楽園を失楽園へと変えていった・・・

CAST&STAFF

ステファン|クラウス・グリュンバーグ

1941 年11 月20 日、ドイツ、ヴィスマール出身。本作以降、マカロニ・ウエスタン『怒りのガンマン/銀山の大虐殺』(72/未)、ルトガー・ハウアー主演『脱走戦線』(86/TVM)、ロジャー・ムーア主演『サマー・シュプール』(90)、ロシア映画『ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』(12)などに出演。近年も現役で活動中。

製作・監督・脚本・原案・台詞|バーベット・シュローダー

製作・監督・脚本・原案・台詞|
バーベット・シュローダー

1941年8⽉26⽇、イラン、テヘラン出⾝。パリのソルボンヌ⼤学で哲学を専攻。エリック・ロメール監督に憧れ、当時ロメールが編集⻑を務めていた映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」の編集部員となる。後にロメールと映画制作会社レ・フィルム・デュ・ロザンジュを設⽴。数々のロメール作品の他、ヌーベルヴァーグの監督たちによるオムニバス『パリところどころ』(68)などの製作を⼿掛ける。本作『MORE/モア』で監督デビュー。撮影にはロメール作品で付き合いのあったネストール・アルメンドロスを抜擢した。以降、主な監督作に、再度撮影にアルメンドロス、⾳楽にピンク・フロイドを起⽤した『ラ・ヴァレ』(72)、ハリウッド・デビュー作となった『バーフライ』(87)、アカデミー賞・監督賞候補となった『運命の逆転』(90)、『ルームメイト』(92)、『死の接吻』『判決前夜/ビフォア・アンド・アフター』(95)、『絶体×絶命』(98)、『完全犯罪クラブ』(02)、『陰獣』(08)、Netflix『忘れられない記憶』(15)などがある。

撮影監督・美術|ネストール・アルメンドロス

1930年10⽉30⽇、スペイン、バルセロナ出⾝。⻘年時代にキューバに移住し、以後独学で映画制作を続ける。パリを訪れた際、エリック・ロメール監督と知り合い、映画撮影の道を歩み始める。ロメール監督作は、『パリところどころ』(64)、『モード家の⼀夜』(69)、『クレールの膝』(70)、『愛の昼下がり』(72)、『O公爵夫⼈』(76)、『海辺のポーリーヌ』(83)などを担当。フランソワ・トリュフォー監督とも親交を深め、『野性の少年』(70)、『恋のエチュード』(71)、『アデルの恋の物語』(75)、『恋愛⽇記』(77)、『緑⾊の部屋』(78)、『逃げ去る恋』(79)、『終電⾞』(80)、『⽇曜⽇が待ち遠しい!』(83)を担当。テレンス・マリック監督『天国の⽇々』(78)でアカデミー賞・撮影賞を受賞した後はハリウッドにも進出。『クレイマー、クレイマー』(79)でロバート・ベントン監督と初コンビを組み、『殺意の⾹り』(83)、『プレイス・イン・ザ・ハート』(84)、『消えたセクシー・ショット』(87)、『ビリー・バスゲイト』(91)を担当。その他主要作品にミムジー・ファーマー出演『ワイルド・レーサー』(68/未)、シュローダー監督『ラ・ヴァレ』(72)、『コックファイター』(74)、『放浪紳⼠チャーリー』(76)、『これからの⼈⽣』(77)、オスカー候補となった『⻘い珊瑚礁』(80)と『ソフィーの選択』(82)、『⼼みだれて』(86)、『イマジン/ジョン・レノン』(88)、『ニューヨーク・ストーリー』(89/スコセッシ篇)などがある。1992年3⽉4⽇、エイズによるリンパ腫のため61 才でニューヨークにて死去した。

音楽|ピンク・フロイド

1965 年に結成されたイギリスを代表するプログレッシブ・ロックバンド。本作で初めて映画音楽を手掛け、サントラ盤は現在も繰り返し版を重ねている。当時のメンバーは、ロジャー・ウォーターズ、リチャード・ライト、ニック・メイスン、デヴィッド・ギルモアの4 人。ミケランジェロ・アントニオーニ監督『砂丘』(70)の音楽を手掛けた後、再度シュローダー監督『ラ・ヴァレ』(72)を担当。アラン・パーカー監督、ロジャー・ウォーターズ脚本の『ピンク・フロイド/ザ・ウォール』(82)は、フロイドのコンセプト・アルバム『ザ・ウォール』(79)のストーリーをそのまま映画化した野心作だった。

MORE
出演|エステル:ミムジー・ファーマー、ステファン:クラウス・グリュンバーグ、ウォルフ:ハインツ・エンゲルマン、チャーリー:ミシェル・シャンデルリ、ヘンリー:ヘンリー・ウルフ、キャシー:ルイズ・ウィンク
製作・監督|バーベット・シュローダー
脚本・台詞|ポール・ジェゴフ、バーベット・シュローダー
原案|バーベット・シュローダー
撮影監督|ネストール・アルメンドロス
美術|フラン・ルイス、ネストール・アルメンドロス
編集|デニーズ・デ・カサビアンカ、モニーク・ジラウディ
音響|ジャック・ジュリアン、ロベール・プレ
音楽|ピンク・フロイド
1969年/西ドイツ・フランス・ルクセンブルグ合作/英語/カラー/ヴィスタサイズ 1:1.66/モノラル/DCP/上映時間 116分
© 1969 FILMS DU LOSANGE

あまりの異様さが観る者の心を揺さぶる異形のミステリー、
数十年の封印を破り、衝撃の再公開!

INTRODUCTION

『MORE/モア』の鮮烈な存在感で一躍時の人となったミムジー・ファーマー。『渚の果てにこの愛を』は、そのブロンドのショートカットとフル・ヌードのイメージを引き継ぎ、前作と並ぶ彼女の代表作となった異形のミステリー。80年代にレンタルビデオが出回って以来、過去数十年にわたり世界的に封印状態にあった幻の作品だ。後のジェーン・バーキン主演『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』と同様、茫漠たる荒野を舞台に歪んだ人間関係が描かれるこの作品で、ミムジーは禁断の愛に憑かれた女を熱演、イタリアのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞・特別賞に輝いた。常軌を逸した妄執によって愛する男と自らをも破滅へと誘う女性像は、その可憐でセンシティブな美しさとともに、女優ミムジー・ファーマーを初めて知る者の心をざわめかせるだけでなく、物語のあまりの異様さをして、観る者の心に深い爪痕を残すに違いない。

STORY

愛してはならないーその美しい娘は「妹」だった・・・
港町サリナへと続く荒野の一本道。若き旅人ジョナス(ロバート・ウォーカー)は、道沿いの小さな食堂兼ガソリンスタンドにたどり着いた。井戸水で渇きを潤していると、ふと現れた女と目が合った。「ロッキー!」―女主人のマラ(リタ・ヘイワース)は、ジョナスを4年前に家出した息子、ロッキーと信じ込んでいた。マラの美しい娘ビリー(ミムジー・ファーマー)もまた笑顔で「兄」に抱きついてきた。食堂の常連ワレン(エド・べグリー)も知り合いだったかのように話しかけてくる。一体どういうことだ?全員気が狂っているのか―疑念が晴れぬまま、しかし行くあてもないジョナスは、ロッキーのふりをしたまま母娘と一緒にそこで暮らすことに。そんなある日の午後、シャワーを浴びたビリーがタオル1枚の姿でジョナスの部屋を訪れ、ふたりは欲望のままに抱き合ってしまう―。ロッキーという男は実在するのか? そして「兄」と「妹」、禁断の愛の行方は・・・

CAST&STAFF

ジョナス|ロバート・ウォーカー

1940年4⽉15⽇、ニューヨーク市出⾝。ロバート・ウォーカー・Jrとも称される。ヒッチコック監督『⾒知らぬ乗客』(51)に主演したロバート・ウォーカーと『慕情』(55)のジェニファー・ジョーンズの間に⽣まれる。3 才の時両親が離婚し、後の⺟の再婚相⼿、往年の映画界のタイクーン、デイヴィッド・O・セルズニックが継⽗となった。アクターズ・スタジオに学び、カーク・ダグラス主演『零(ゼロ)下の敵』(62)で映画デビュー。『脱⾛計画』(63)ではゴールデングローブ賞・将来有望な新⼈男優賞を受賞。以降、『ミスタア・パルバー』(64)、『真昼の衝動』(66)、『戦う幌⾺⾞』(67)、『七⼈の無法者』(68/未)『真昼の逃亡者』(68)、『イージー★ライダー』『国境のかなたに明⽇はない』(69)、『⼈喰いアメーバの恐怖2』(72/未)、『刑事コロンボ/愛情の計算』(74/TVM)、『ミッシング・ボーダー/地獄の戦場』(82/未)、『魔⼥の棲む村』(83/未)『ダーク・エンジェル/殺しの抱擁』(83/未)、『ハンボーン』(83)などに出演。2018 年まで数々のTV シリーズにゲスト出演を続けたが、2019年12⽉5⽇、79才でカリフォルニアのマリブにて死去。

マラ|リタ・ヘイワース

1918年10⽉17⽇、ニューヨーク、ブルックリン出⾝。ハワード・ホークス監督『コンドル』(39)で注⽬を集め、1941年公開のジェームズ・キャグニー共演『いちごブロンド』、タイロン・パワー共演『⾎と砂』、フレッド・アステ共演『踊る結婚式』の3作品でスターの座をつかむ。以降1940年代はセックス・シンボルとして⼀世を⾵靡し、豊かな⾚⽑がトレードマークとなった。“ファム・ファタール”を演じたフィルム・ノワールの名作『ギルダ』(46)が代表作。1943年に再婚したオーソン・ウェルズ監督の『上海から来た⼥』(47)に主演したが、翌年離婚した。その他、主要作品に『運命の饗宴』『晴れて今宵は』(42)、『カバーガール』(44)、『今宵よ永遠に』(45)、『カルメン』(48)、『醜聞(スキャンダル)殺⼈事件』(52)、『情炎の⼥サロメ』『⾬に濡れた欲情』(53)、『海の荒くれ』(57)、『夜の豹』(57)、『旅路』(58)、『コルドラへの道』(59)、『サーカスの世界』(64)、『銭の罠』(65)、『悪のシンフォニー』(66)、『残虐の掟』(67)、『バスタード』(68)などがある。本作に出演した後、『サンタマリア特命隊』(72)が最後の出演作となり、⻑らく患っていたアルツハイマー病によって、1987年5⽉14⽇、ニューヨークにて68才で死去した。

監督・脚本|ジョルジュ・ロートネル

1926年1月24日、フランス、ニース出身。1958年に監督デビュー。1960年代、我が国では『やるか、くたばるか』(60)と『スパイ対スパイ』(62)が公開された後、ミレーユ・ダルクが主演/出演した『恋するガリア』(65)、『女王陛下のダイナマイト』(66)、『太陽のサレーヌ』『牝猫と現金(げんなま)』(67)で注目された。ジャン・ギャバン主演『パリ大捜査網』(68)をはさみ、70年代は、本作『渚の果て~』(70)の後、再びダルクが出演した『狼どもの報酬』(71)、そしてアラン・ドロンとダルクが共演した『愛人関係』(74)と『チェイサー』(77)を発表。『警部』(79)でジャン=ポール・ベルモンドと初コンビを組み、続く『プロフェッショナル』(81)は、フランス本国において自身のキャリア最大のヒット作となった。以降、ベルモンドとソフィー・マルソー共演『ソフィー・マルソー 恋にくちづけ』(84)、ヒット・シリーズの第3作『Mr.レディ Mr.マダム3 ウエディングベル』(85)、『ラ・メゾン 惨劇の館』(88)、『レプスキー絶体絶命 その男凶暴につき』(90)が日本公開されている。幅広いジャンルの娯楽映画の作り手として約40 本の劇場用映画を監督したが、2013年11月22日、パリにて87 才で死去。

音楽|クリストフ

1945年10月13日、パリ郊外出身。フランスでは著名なシンガー・ソングライター。1963 年にデビューし、近年もアルバムを発表するなど現役で活動を続けていたが、2020 年4月16日、新型コロナにより74才で死去。

音楽|クリニック

パリで知り合ったイギリス人のアラン・リーヴス、カナダ生まれのフィリップ・ブリガム、そしてフィル・トレイナー、ゲリー・マーフィ、クリス・ヘイワードの5 人によって結成されたロック・バンド。メンバーは皆、当時十代後半から二十代前半だった。本作の音楽はすでにクリストフが手掛けることに決まっていたが、ピンク・フロイド的なサウンドを求めていたロートネル監督が彼らのデモテープを聴き、採用された。ロートネルは、次作『狼どもの報酬』(71)でも彼らを音楽に起用している。なお、サントラの一曲「The Chase」は、クエンティン・タランティーノ監督が『キル・ビル Vol.2』(04)の中で流用し、同作のサントラにも収録された。

LA ROUTE DE SALINA
出演|ビリー:ミムジー・ファーマー、ジョナス:ロバート・ウォーカー、マラ:リタ・ヘイワース、ワレン:エド・べグリー、チャーリー:ブルース・ぺシュール、警察署長:デイヴィッド・サックス、リンダ:ソフィー・アルディ、and マルク・ポレル
監督・脚本|ジョルジュ・ロートネル
脚色・台詞|パスカル・ジャルダン、ジャック・ミラー、シャルル・ドラ
原作|モーリス・キュリー
撮影監督|モーリス・フェルー
美術監督|ジャン・ドゥボンヌ
衣装|ジャン・ブキャン、マリー=テレーズ・ル・ギロシェ
音響|ルイ・オシェ、ルネ・ロンゲ 編集:ミシェル・デイヴィット
音楽|クリストフ、クリニック
1970年/フランス・イタリア合作/フランス語/カラー/スコープサイズ 1:2.35/モノラル/DCP/上映時間 95分
© 1970 STUDIOCANAL - Fono Roma - Selenia Cinematografica S.R.L. All Rights Reserved.

COMMENT

“永遠のミューズ” ミムジー・ファーマー。
1960年代末、彗星の如く颯爽と現れたアメリカ出身の女優さん。
その清純な煌めきは、年月を経た今も、色褪せない。
オールヌード、激しいラブシーン、薬中毒の危うい場面、それらを演じても決して汚れない芯の強さを内蔵している。
ジーン・セバーク、ジョアンナ・シムカス、アンナ・カリーナ、ジェーン・バーキン、そしてミムジー・ファーマー。
彼女達は、永遠のミューズである。

桜井浩子|女優・コーディネーター

これは夢だと知りながら夢を見ているような、甘やかな虚しさに絡め取られる95分。波が砂浜を削るように、現実が幻想を、幻想が現実を浸食していく異形のミステリー。ここに描かれる愛と呼ばれるもの、どこまでもまやかしで自分勝手で残酷で、美しい。

王谷晶|小説家

放埓だが/だから緊張している。裸だが/だから紗幕がかかる。儚く死にそうだが/だから溌剌として消えない。薬物に、砂浜に、ミムジー・ファーマーが留め置かれる2本の映画。『MORE』の風車に突進していくシーンが好きだ。ドン・キホーテは「男と女」だった。

五所純子|文筆家

聖母のような清らかさを持ちながら、
彼女の瞳の奥に潜む青い炎は危うくゆらめき
誰もがそれに魅せられる。
そして、その青き炎が消えぬようにと
手をあてがう者を緩やかに破滅へと誘う
残酷な天使のような色を持つ人。

スズキエイミ|現代美術家

ああ、関わったらきっとダメになる。わかっていても、それでいいと思ってしまった。スクリーンの中に生きるミムジー・ファーマーの目に、声に、肌に、においに吸い寄せられて、すっかり誘惑されることを心待ちにしていたのだと気づく。彼女は私たちの、忘れがたく甘美な痛みそのものだ。

睡蓮みどり|女優・文筆家

ひたすら空虚である故にかろうじて人間的だと言わざるを得ない
ミムジー・ファーマーの肉体を前にしたわれわれは、
背後から魂を不意打ちされる。
奇跡のような一瞬、絶対的な事件の予告なき到来と言ったらいいか。
もはやわれわれはそこに流れる永遠の時間の住人となるしかない。
扉は再び開かれてしまったのだ。

樋口泰人|boid・爆音映画祭プロデューサー

ちょうど50年前に日本で公開された『モア』は
それからずっと<好きな映画10本>のなかに入っていた。
今やすっかり有名になってしまったイビザを舞台に繰り広げられる
ドラッグまみれの官能的でデカダン、かつアナーキーな物語。
ピンク・フロイドの音楽もぴったりとはまっていて
バーベット・シュローダーはすぐに“好きな監督”の仲間入りを果たした。
今、改めて観てもインパクトは全く劣化しておらず
若い時に好きだった映画と再会して拍子抜けするようなこともなく
それがとてもうれしかった。
<好きな映画10本>の中に入っているゴダールの『気狂いピエロ』とつながっている感じと
カミュやボウルズ、ブコウスキーあたりのスパイスがいい感じでかかっていて
棺が閉まるエンディングの衝撃は、一気に若き日々へ連れていかれた。
二度と現れることのない、デカダンの極致にある青春映画の傑作と断言できる。

立川直樹|プロデューサー・ディレクター

『4匹の蠅』や『炎のいけにえ』など、様々な70’sユーロ恐怖映画に登場しまくった謎の美女といえばミムジー嬢だが、やはり代表作といえばこの『モア』しかない。彼女とピンク・フロイドの組み合わせは、他に得難い神秘がある!!

中原昌也|作家・ミュージシャン

『原子心母』の文化現象ともいえる超人気が、『MORE/モア』の公開を可能にした。
新宿の洋画ピンク映画系上映館に、普通の日の客層とは異なる長髪ロック・ファン(含自分)が押し寄せ、いつもの洋ピン狙いで来場していたネクタイおやじが上映前に逃げ出した半世紀前の光景がいまだに記憶に鮮明。

滝本誠|ライター

煌々と輝く太陽に照らされ、
小麦色の肌に白い布が透き通る。
奔放で、思う気ままに生き、
すべてを物語る彼女の澄んだ瞳に
映っていたものは
あなたと私のユートピアで
その繰り返しだった。

ルアン|電影と少年CQ

THEATER

           
都市 劇場名 公開日
東北
仙台市 フォーラム仙台 2021/11/26〜
山形市 フォーラム山形 2021/11/26〜
関東
新宿区 シネマカリテ 2021/11/5〜
横浜市 シネマ・ジャック&ベティ 近日公開
甲信越静
松本市 松本CINEMAセレクト 近日公開
上田市 上田映劇 近日公開
中部・北陸
名古屋市 名古屋シネマテーク 2021/12/18〜
金沢市 シネモンド 近日公開
関西
大阪市 テアトル梅田 2021/12/3〜
京都市 アップリンク京都 2021/12/3〜
神戸市 神戸アートビレッジセンター 2022/1/7〜
中国・四国
岡山市 シネマ・クレール 近日公開
広島市 横川シネマ 近日公開
松山市 シネマルナティック 近日公開
九州・沖縄
福岡市 KBCシネマ 近日公開
熊本市 Denkikan 近日公開
那覇市 桜坂劇場 近日公開